今年の夏、音響関係の二つの国際学会が開催された。一つはinter-noise 92(国際騒音制御工学会)で、7月20日から22日までトロント市郊外のFour Seasons Inn On The Parkというホテルで、もう一つは14th ICA(国際音響学会)で、9月3日から10日という日程で北京市の21st Century Hotelで開催された。
まず、inter-noise 92であるが、永田が招聘されたのは、T4のState-of-the-art Criteria for Noise Control in Buildingsという議長のCavanaugh氏の好みそうな標題のセッションで、建築のノイズコントロールの最近の基準の提案、問題点の紹介であった。
小口が発表したのはComputer Simulation in Room Acousticsという現在、最も話題が集中している部門である。最大の関心はシミュレーションをとおしてホールの音を聴く、"auralization"といわれる手法そのものに集中している感があった。また、小口はシミュレーションの結果を実際の設計にどのように利用しているか、その実態を紹介した。最終日には21世紀の室内音響の動向に関するディスカッションが行われたが、掛け声のわりには内容は乏しかった。