9月21日から25日までの5日間、第89回AESコンベンションがロサンゼルスのコンベンションセンターで開催された。筆者は特別セッション“Modelling on Acoustic Spaces”に参加し、永田事務所で行っているコンピューターシミュレーションと光学、音響模型実験の使い分けを整理したコンサートホールの室内音響設計手法を紹介し、適応例として今月末オープンの東京芸術劇場大ホールの設計過程を報告した。
会場の風景
このセッションのテーマ“Modelling”の意味合いは幅広く、Dr. Prof. Shroederの特別講演につづいて、音場シミュレーション(音場合成)2件、コンピューターシミュレーション3件、模型実験2件、コンピューターシミュレーションと模型実験1件の論文発表が行われた。内容的には、日本国内で開発・発表されているものに較べて、特に目新しいものではなかった。参加地域別では、ヨーロッパ3件、アメリカ3件、日本1件であった(アメリカのうち1件は、ALTEC社に移られ“Acousta CAD”の開発に携わっておられる持丸氏の発表)。ヨーロッパからの発表はいずれも数式に基づいた解説が主であったこと、アメリカからの発表はAV機器を駆使したプレゼンテーションが見事で、興味深く、また参考にすべき点が多かった。