No.061

News 93-1(通巻61号)

News

1993年01月15日発行

ロサンゼルス、ディズニー・コンサートホールの建設始まる

当事務所で音響設計を担当しているロサンゼルスのディズニー・コンサートホールが、この程ようやく着工の運びとなった(1992年12月10日起工式)。設計が始まったのが1989年初頭のことであるから、そろそろ4年になろうとしている。4年間まるまる設計に費やしていたわけではなく諸事情により途中約1年間の中断があったりしたが、それにしても設計に対する時間のかけ方や考え方はわが国の場合とかなり異なったところもあり非常に興味深い。設計の途中経過については、昨年夏に「日経アーキテクチュア」(1992年8月31日号)という建築雑誌に「海外プロジェクト報告」として紹介したが、工事着工を機にホールの概要とともにあらためて紹介させていただくことにした。

ディズニー・コンサートホール
内部模型(1/48、木製)

このコンサートホールは、故ウォルト・ディズニーの未亡人、リリアン・ディズニーさんからの寄付金を基に建設されることから「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」と命名されており、オーケストラを中心としたクラシック音楽専用のコンサートホール(2300~2400席規模)として計画されている。ステージの周囲にも客席を配したいわゆるアリーナ型の客席配置(サントリーホールのタイプ)のホールで、完成後はロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地となることが予定されている。場所はロサンゼルスのダウンタウンの中心部、現在ロス・フィルが本拠地としているチャンドラー・パビリオンの向い側で、ロサンゼルス現代美術館(磯崎新氏設計)にもごく近いところである。建築設計は地元サンタ・モニカにオフィスを構えるフランク・O・ゲーリー氏である。現代のアメリカを代表する建築家で、建築界のノーベル賞といわれるプリッツカー賞を2~3年前に、また、昨年度の高松宮世界文化賞(建築部門)を映画監督の黒澤明氏(映画部門)とともに受賞したのは記憶に新しいところである。

ゲーリー氏が建築設計者に選ばれたのは1988年の12月のことで、私どもが音響設計者として指名される4か月程前のことであった。初めてゲーリー氏のオフィスを訪れて驚いたのは、細長い案、幅広い案、丸い案、四角い案……等々、20以上ものホール内部設計案の模型(192分の1の小さな模型)が所狭しと並べられていたことである。ゲーリー氏は、音響設計者が決まるまでの4か月間にこれらのスタディを独自に進めていたのである。彼はこれらの模型一つ一つに対する音響的な評価を求めてきた。その時点では、デザインは完全に白紙の状態だったようだ。模型によるスタディを通じて音響設計者が何を考えているのかを知り、それからデザインの方向を考えていきたい……というのが彼の基本的なスタンスであった。

設計のプロセスとしてはその後も模型を中心としたスタディが進められ、模型のスケールも192分の1から96分の1、48分の1へと拡大されていった。この段階における音響設計側のスタディは、コンピューターによるシミュレーションを中心としたものであった。その間のミーティングは月に1度か2か月に1度くらいのペースであったが、ファクシミリでのやり取りはかなり頻繁に行われ、毎日ファクシミリが届くような時期もあった。時差の関係でお互いの作業時間がずれているので、夕方送ったものに対する返事が翌朝には届く。それをまた1日かけてスタディして送る……という具合である。ファクシミリが実用化されたからこそ可能となった国際共同作業といえるであろう。図に示すような基本設計の最終段階に到達するまでにおよそ1年半かかっている。50分の1スケールのホール内部模型(すべて木製)の数もすでに4つを数えている。わが国では考えられない程の時間と手間のかけ方である。わが国における同規模のプロジェクトの場合、基本設計に数か月、実施設計に1年、最終的なデザイン確認のための模型がひとつ、といったところであろうか。設計側だけの問題ではないことはもちろんである。

もうひとつ、このプロジェクトにおける大きなポイントで、しかもわが国のコンサートホールのプロジェクトと大きく異なっていること、それはこのホールが最初からロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団のために計画されており、彼等自身も一緒に参加しながらプロジェクトが進められてきているということである。実際に、このプロジェクトのオーナーであり最終意思決定機関であるロサンゼルス郡ミュージックセンターの「ウォルト・ディズニー・コンサートホール・コミッティー」のメンバーには、ロス・フィルの事務局長、コンサートマスターそして何人かの楽団員代表も入っており、設計に必要なプログラムづくりをはじめとして設計案に対する意見交換や注文など様々なかたちで彼等の意見が反映されるようになっている。オーケストラとホールが切っても切れない密接な関係にあることはいうまでもない。使い勝手の良い、使う人達が満足できるホールを作るためには設計段階において使う側の意見を十分に反映させることが重要であるが、実際に彼等は設計のいろいろな段階において参加し、その決定に重要な役割を果たしているのである。

ロス・フィルのメンバーを含むコミッティーのメンバー約10人が、新ホール建設の参考のために東京のサントリーホールを訪れたのは1988年の2月のことであり、それから数か月後の秋にはロス・フィルの東京公演が実現された。新ホールの音響を考えるために実施された世界中のコンサートホールについてのスタディの一環として、サントリーホールを含む日本のいくつかのホールの響きを自分たち自身で体験することが公演の大きな目的のひとつであった。新ホールではオーケストラ用のヒナ段迫りを計画中であるが、これはサントリーホールのステージのように弦楽器のパートまでも含んだ大掛かりなものである。各々のオーケストラの特質に合わせてこれらのヒナ段迫りを上手く使いこなすことができれば非常に有用な装置であり、当事務所はこれを新ホールに設置することを提案した。大変コストが掛かり、使いこなすにもオーケストラ側の積極的な姿勢が必要であることから、普通は導入が困難なシステムである。サントリーホールにおける公演でこのシステムを経験していたロス・フィルが設計の意図をよく理解してくれたことから、非常にスムースに導入することができた。さらにオーケストラ側からの提案で、現在の演奏会場のステージに新しいヒナ段迫りのモックアップを作り実際のコンサートでも試用を開始している。いわばヒナ段迫りの仮縫いのようなものである。これらの試用を通じて、音響的な効果や使い勝手の点など必要に応じて実際の設計にフィードバックすることと、新ホール用の配置に今からできるだけ慣れておこうというのが目的である。特定のオーケストラの個性や特質に合わせた設定が可能であり、ホールにとってもオーケストラにとってもフランチャイズならではの大変な強みである。わが国のコンサートホール建設においても、特定のオーケストラや団体を念頭に置いた計画や建設の機運が生じつつある。ロサンゼルスにおける経験が今後の設計に役立つのではないかと考えている。

ディズニー・コンサートホールの建設はまだ始まったばかりである。ロサンゼルスの車社会という特種事情から、あらゆる大型施設は駐車場を備えないと機能しない。新ホールもその地下に6層分の駐車スペースが計画されており、この駐車スペースの建設に2~3年かかるとされている。その後のホール建設に2~3年、合計5~6年というのが今後の完成までの見通しである。今後ホール部分の建設にとりかかるまでの2~3年の間、ホール内部の設計を詰める作業が残されている。音響側のスケジュールとしては10分の1スケールの音響模型実験の実施を予定しており、現在、10分の1スケールの模型がほぼ出来上がりつつある。いずれまた機会があれば、その後の進捗状況などを報告する予定である。(豊田泰久 記)

建物名称Walt Disney Concert Hall
所在地III South Grand Avenue, Los Angeles, California
発注者The Music Center of Los Angeles County
プロジェクトマネージャーStegeman and Kastner
設計者Frank O. Gehry & Associates(デザインアーキテクト)
Dworsky Associates(エグゼクティブアーキテクト)
CBM Engineering(構造)
Levine/Seegel Associates(機械)
Frederick Russell Brown & Associates(電気)
永田穂建築音響設計事務所(音響)
施工者HCB-Peck/Jones
バックステージレベル平面図(1/1,600)

ガーデンレベル平面図(1/1,600)

A-A' 断面図(1/1,600)
A-A’ 断面図(1/1,600)

[座談会]欧州の野外オペラの“音”を語る

昨夏、世界で唯一つ音像定位システムを導入しているブレゲンツ(オーストリア)の「カルメン」と、大型円形劇場で生音で上演しているヴェローナ(イタリア)の「ラ・ボエーム」の観賞を職員の海外研修として実施したが(既報)、同じ公演を御覧になったフリックプロの本間明、渡辺邦男両氏に二つのオペラの音について印象を伺った。なお、両氏は東京の帝国劇場を中心にミュージカルなどの音響担当として活躍されている。

出席者本間 明((株)フリックプロ代表取締役)
渡辺邦男((株)フリックプロ、帝国劇場チーフミキサー)
浪花克治(永田穂建築音響設計事務所)
司会中村秀夫(永田穂建築音響設計事務所)
日時1992年12月14日
場所帝国劇場 5階控室にて

中村:この二つの野外オペラですが、ブレゲンツは電気音響を全面的に使用していたのに対して、ヴェローナはまったく電気音響の助けを借りない、という対称的な演出でしたね。まず、この二つのオペラを御覧になってのご感想からお聞かせ下さい。

本間:オペラをあれだけ全PAしているというのは、東京ドームでの「アイーダ」しか観ていませんが、このときはステージからかなり離れた席だったせいか、音の定位の不自然さはあまり感じなかったのです。ステージ全体から音が来る感じでしたね。その経験しかなかったので、こんどのブレゲンツは、ちょっと驚いたというよりも、会場の条件などから、あのような形を採らざるを得なかったと思いますね。
それから技術的な面だけではなく、あれだけ多くの観客を消化しなければ、いまオペラは成立しないのかな、という予算面の問題、それを強く感じました。つまり、制作費の問題を解決するために音響も変わっていかざるを得ない、という見方もできましたね。

ブレゲンツ 湖上のカルメンの舞台

渡辺:PAを使ったオペラも、また、野外のオペラもはじめてでしたが、ブレゲンツは電気音響を使っているということは事前にわかっていましたので、どちらかといえば、どのように使っているのかなという興味を持って行ったのですが、実際に会場を見て、野外だし、後ろは壁といっても作り物の壁だし、電気音響を使わないと音が客席に伝わらないのだろうと思いました。そして、実際に聴いてみて、良いところもあるが悪いところもあったと感じました。一般の観客が聴いてどうかはわかりませんけど、たとえば、定位についていうと、定位はしているのだけど、無理やりに両サイドに振りすぎて逆に音がばらばらになったり、音のバランスが不自然になったりということです。これは、もう少しきめ細かいオペレートによって良くなるのかもしれませんが。でも、トータルとしては、電気音響のサポートによって迫力が増しており、これからまだまだ良くなると思われるので大変興味を持ちました。これに比べると、ヴェローナは自然の響きがあってこれはこれで良いのですが、“こういうものだな”と思って聴かないと、やや物足りない感じがしました。

浪花:ブレゲンツを聴いて、定位のことはともかく、音が良く拾えているな、と感じました。音が良く採れることで音像定位システムが成立するわけですから。去年の夏、音像定位システムを試用して東京で上演された野外劇「リア王」でも感じたのですが、音がきちっと採れているところは良いのですが、採りにくいところが必ずでてきて、そういうところは、どうしても音がぼけてしまう。そういう意味で、音を採るという原点が良くなってきていると感じました。逆に、ブレゲンツでは電気音響を使用しないとどうにもならないことを関係者もよく認識しているために、歌手にワイヤレスマイクを装着させたり、たくさんのマイク、スピーカを仕込むことなどができているのかなとも思いました。

本間:ブレゲンツについては、個人的にですが音圧が高すぎると思いました。音のバランスについては、オーケストラがあまり練習しないで、すぐ本番という感じですね。このために、オペレータはバランスをとる状況にならないでどんどん進んでいってしまうわけですね。だからOVERTUREのバランスが非常に悪かった。最後のほうでは良くなってきましたね。それから、定位については、私はあれで良いのでないかと思います。なぜならば、あれだけ間口の広いところでは、あの程度しかできないのではないでしょうか。ただ、音が重なるところでの位相の問題でしょうか、聴き苦しいところがありました。これは一般の観客にはわからないかもしれませんが、ちょっと耳の良い人にはわかります。それから、大きな舞台装置がステージの後に非常に高くそびえるように立てられていましたね。私もオープンステージで良く経験するのですが、ああいう音の反射面になる装置を使わないと、とてもあのような形式のものは、たとえ電気音響に頼ってもむづかしいと思います。

中村:私がブレゲンツで感じたのは、定位についてはかなりうまくやっていると思いましたけど、シーンによって音源が増えるせいか、音がぼけるというか、音像が大きくなるんですね。あのへんは非常に微妙ですね。

本間:そのとおりですね。音源を多くすればするほど音がマイルドになっていくんです。そういう意味からすると音源は少なくした方が良いのですが、現実にあれだけのスペースをカバーするのに音源を少なくするには限度があるから最大公約数にもって行く、ということなんですね。そこに、担当者の心とかセンスが出るのではないでしょうか。

中村:ヴェローナはブレゲンツと地形的な条件が異なり、昔ながらの円形劇場ですが、電気音響の助けを借りないで生音で成り立つというのはこの地形によるものでしょうか。

本間:そう思います。舞台装置家のことに踏込んでいくことになりますが、ステージの後の舞台装置を、もっとすり鉢に沿って高く作ればもっと良かったでしょうね。

中村:「ラ・ボエーム」の舞台装置もかなり大きな、高いものでしたが、音のことも考慮されているのでしょうね。

本間:そうでしょうけど、もっと高ければより良かったでしょうね。

中村:ヴェローナでも出し物によっては電気音響を使用することもあるのでしょうか。

本間:あると思います。出し物によるのではないでしょうか。あそこで「カルメン」を生音だけでやるとして、あの音量だったら観客はいらいらすると思いますよ。今回のようにオケを増やしたとしてもOVERTUREなんか迫力が出ないでしょう。「ラ・ボエーム」だから生音で成り立つのでしょう。

渡辺:ヴェローナの円形の中では生でどこまでできるか、ということで、極端な話ですが、あそこでロックコンサートをやるとすればPAを使用せざるを得ないでしょうね。

浪花:はじめに音量の大きいブレゲンツを聴いたので、ヴェローナでは最初はちょっと前のめりになる感じでした。そのあとは慣れましたけど。

本間:私たちも、もちろん演出家や指揮者によりますが、野外でやる場合は音を大きくするんですよね。それと歌い上げるということですね。あの指揮者はそれをかなりやっていましたね。何というか、食い付きの良いような、ゆったりした振り方をしていたのと、歌手が非常にうまいですよね。あれが向こうでは普通なのかもしれないけど、声がよく通ってましたね。

ヴェローナ ラ・ボエームの舞台

本間:それから、ブレゲンツは、トーンマイスターのフリッツさんのような人がいたから出来た、といえるのではないでしょうか。彼のやっていることを考えたら、あれだけの費用がどこから、よく出た、と思いますね。私は貧乏だからよけいびっくりしていますよ。(笑)だから、あれが特殊なのではないでしょうか。だけど、けっして悪いことではなく、良い驚きですけど。

中村:ご担当のミュージカルなどで、システムとしてではなくても、何らかの音像定位的な操作をされることはあるのでしょうか。

本間:たとえば、「ミス・サイゴン」を帝劇でやるのなら、もう少し定位ということを考える必要があると思いますけど、通常はあまり必要はないのですね。ロンドン発信のミュージカルの場合、音響デザイナーの考え方は、音圧を均等にするということなんですね。これが定位を無くしているともいえますね。

中村:効果音は、定位がシビアではありませんか。

本間:それは、人によってはこだわります。ただ、帝劇みたいな2000席位の劇場で芝居をやるときは、だいたいステレオ的な考え方をもとに、モノラル処理でバランスをとって定位させることが必要だと思います。なぜなら、舞台転換の音が大きいということもあって、舞台の中に仕込んだ小型のスピーカから効果音を出すということは、音量的な制約から特別の場合以外ほとんどやりません。そして、大勢からいうとそれほど必要ではないのですね。このやり方でも、前列で聴いても意外に不自然ではないのです。これは私のやり方であり意見ですが。むしろ500席とか700席とかの小さい劇場のほうが、それなりに定位させてやる必要があるのではないでしょうか。むしろ私は、大劇場の場合ですが、効果音を定位させることよりも、音質の方を大事にしたい、ということがあります。定位ばかりちゃんととっても、音が悪くては私は嫌なのですね。人によって違うでしょうけどね。

渡辺:帝劇みたいな大きい劇場でやると、ほんとうは定位もさせたいし、スピーカも仕込みたいのですけど、実際は舞台転換とか、セットの問題とかで仕込めない、仕込んでも転換時に人が出ていってバラせないとか、そういうことが多いので、それでどうするかというと、本間さんがおっしゃったような方法になるわけです。もちろん仕込めるときには仕込むこともあります。

中村:ブレゲンツでは、かなり大きなスピーカが大量に舞台セットに仕込んでありましたが、あれはほとんどが固定のセットだから可能なのであって、転換が多い場合はむづかしいということですね。

渡辺:そうですね。それから、ミュージカルに比べるとオペラの場合は、一人の歌手が歌っているシーンが長く、また、動きも決まっていますね。だから、あのような音像移動ができるということがありますね。ミュージカルのように多くの歌手の掛合いなどがあると、定位をさせていてもグチャグチャになってしまったり、位相による音質劣化もより大きくなる、という問題がありますね。

湖上舞台のスピーカ

本間:それはありますね。それに動きのとても速いのがあるから、それを追いかけられるかどうかという問題もありますね。

渡辺:コンピュータ制御とはいっても、上演中の操作はオペレータがやるのですからね。

中村:ブレゲンツでは、多くのスピーカが観客にはまったく分からないように、うまくセットに仕込まれていましたけど、日本でもよくやるのでしょうか。

渡辺:やるときはやります。最初から決めとくわけですね。

本間:スタッフの力関係にもよりますね。音の方に力があれば、装置家を説得してできることがあるけど、若い人は一蹴されてしまう、ということがあるのです。昔ほどではないですけどね。

中村:歌手が頭の前の方にワイヤレスマイクをつけていましたね。あれはミュージカルのやり方ですけど、オペラ歌手に抵抗はないのでしょうか。

本間:あれも力関係でしょうね。トーンマイスターが言えば聞くのではないですか。

渡辺:人によっては嫌がる人もいると思いますが、ブレゲンツでは付けないと成立しないということが分かっているからでしょう。

本間:私の趣味でいうと、客席であれだけの音圧があるのなら、もう少し抑えてリアリティを持たせたほうが効率がいいのでは、と思うんですよ。これは批判ではなくてね。とくにオケが弾き込んでいないから、鳴らないことおびただしく、それを無理やりバランスをとろうとして崩れているという状況でしたね。

浪花:あのようになると、各ディレイがスタッキングで効いてくることによる音の濁りが気になりますね。

渡辺:とくにオーケストラの音がそうでしたね。

浪花:最後のほうは、オーケストラも鳴って、バランス調整も慣れてくるせいか、気にならなくなりました。

本間:トレアドーレなどは良かったですね。こういうオペラは、大変でしょうけど徹底的に仕込んで、あのような形でやるのはひとつの夢ですね。

中村:ありがとうございました。(記事まとめ:中村秀夫)

都内ホールの利用状況

1992年都内大ホール演奏会 1076回
1992年都内大ホール演奏会 1076回
1992年都内小ホール演奏会 1786回
1992年都内小ホール演奏会 1786回

毎年行っている都内ホールの利用状況の集計結果をお知らせする。このデータは雑誌“音楽の友”のconcert guideより集計したものである。昨年の秋、コンサートホールとして浜離宮朝日ホール、王子ホールの二ホールがオープンし、小ホール市場は一層多彩となった。しかし、ここ3年間の利用状況をみると、都内のコンサートの数は頭打ちの感がある。いまの景気の影響がそろそろこの分野にも現れてくるのではないか。今年の動向が気になるところである。

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松田礼子ヴァイオリンリサイタルのお知らせ

松田礼子さんは桐朋学園大学卒業後、西ドイツ国立カールスルーエ音楽大学J.W.ヤーン教授のもとで研鑽を積まれ、1990年末に帰国。ソロ、室内楽などで活躍されているヴァイオリニストである。音楽活動の合間に、わが事務所にお手伝いにこられて2年となる。明快、闊達なお嬢さんである。2月5日の夕べ、津田ホールでリサイタルをされる。伴奏は藁葺き音楽堂で活躍されている、エルンスト・F・ザイラーさんの奥さんのカズコ・ザイラーさん。ヘンデル、ベートーヴェン、R.シュトラウスの作品を弾かれる。チラシを同封します。ご来場をお待ちします。チケットは永田事務所でも扱います。

(財)サウンド技術振興財団講演会「オルガンを考える─コンサートオルガンの導入の手引き─」の開催

先月のNEWSでお知らせしましたように、1月19日(火)13:00~16:30、川口総合文化センター・リリアホールにおいて、コンサートオルガン導入をテーマにした講演会が行われる。講師は須藤宏、永田穂、丹羽正明、広野嗣雄の四氏。お問い合わせ、お申し込みは(財)サウンド技術振興財団、Tel:03-3370-8277、Fax:03-3379-1446まで。報告書だけの購入も可能です。