音楽祭に関しての会議は、“音楽祭の企画運営について”“音楽とまちづくり”という二つの分科会で進められた。筆者は後者の分科会に出席した。司会は山陽新聞論説委員会副主幹の池田武彦氏、パネラーは奥長良和太鼓フェスティバル実行委員長であり郡上八幡で医師をされている坂本由之先生、石川県音楽文化振興事業団専務理事でオーケストラアンサンブル金沢の生みの親の小村良智氏、それに津山国際音楽祭委員会事務局長の小林一和氏の三氏であった。まず坂本先生からは郡上八幡の自然や風物に惹かれてこられた音楽家、その集いが民家の居間のコンサートとなり、それがダルムシュタットアンサンブルやブラスの里コンサート、最近では奥長良和太鼓フェスティバルなどの定期的なコンサートにまで発展しているという活気に溢れた町の紹介があった。続いて小村氏から、ホールよりもまずプロのオーケストラ作りからという氏の強い理念から誕生したオーケストラアンサンブル金沢、その誕生までの経緯と活動状況の説明があった。氏のモットーは“the small is beautiful”で、37吊のこのアンサンブルが毎年海外公演を含め、110回のコンサートを行っていること、また、邦人作曲家による新曲の演奏を取り上げているなど、大都市のオーケストラにはない独特の活動状況の報告があった。最後の小林さんからは、この津山音楽祭が故渡辺曉雄氏の発想で生まれたといういきさつ、マーラーとの結びつきなどの報告があった。会場から最近、倉敷市への移転が決まった作陽音楽大学の影響などについての現実的な質問もあった。